ロシアのウクライナへの軍事作戦について | サバゲーナビ

ロシアのウクライナへの軍事作戦について

Topページレビュー →ロシアのウクライナへの軍事作戦について | サバゲーナビ 

みなさんこんにちは!!サバゲーナビ編集長です!!

今回は2022年2月24日に、ロシアがウクライナへ軍事作戦をしたことについて取り上げる事にいたします。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ウクライナ政府は国内外へ迷彩服などの物資を要求しており、実際に支援する人がいました。
支援するかは本人の判断ではありますが、ロシアとウクライナの関係がどのような経緯でこうなったのかを正しく知ったうえで支援しているのかが気になったのです。

私は2014年からロシアとウクライナの関係をずっと見てきましたが、今回の軍事侵攻に対して「いつか起こると思ってたけど、とうとう起きたか・・・」くらいの感想を持ちました。
私だけでなく、ロシアとウクライナの関係を知っている人であればいつか大規模な軍事的衝突が始まってもおかしくないことは薄々感じていたと思います。
なぜならロシアとウクライナは8年前からず~っと水面下で戦争をしていたのです。

こういった経緯を知ってから支援を決めても遅くはありません。

今回の記事では、ロシアとウクライナの関係について少しでも理解を深めていただければと思い、記事にすることいたしました。

ロシアかウクライナのどちらかに偏るようなことはせず、できるだけ真実に近い情報を基にわかりやすく、公平に書きますのでどうか最後まで読んでいただければ幸いです。

2014年のウクライナ騒乱はまだ続いている

過去の経緯が重要なので、少し歴史の復習をしましょう。
1991年にソビエト連邦が崩壊してウクライナは独立国になりました。
それからウクライナとロシアの仲はある程度のバランスを保っていたのですが、2014年2月のある事件によって一気に関係が悪化してしまいました。

2014年のウクライナの首都キエフでは大規模なデモが発生し、ヤヌコーヴィチ政権が倒されてしまったのです。
デモでは銃弾が飛び交い多数の死傷者が出て、もはやデモではなく内戦のような状況となっていました。これが「ウクライナ騒乱」と呼ばれるものです。
これだけなら政権打倒の一幕で済んだのですが、ここからロシアとウクライナの関係が悪化していきます。

ヤヌコーヴィチ政権はロシア寄りの政治家であり、ウクライナのUE加盟を見送りました。
それに反発した反ロシアのデモが発生してウクライナ騒乱が始まり、反ロシア感情が高まっていきました。
それに乗じて極右系民族主義の団体などがロシア人排斥運動をして、ウクライナ中で多数の死傷者や行方不明者が出てしまったのです。

2022/3/18追記
当時の反ロシア感情を知ることができる事件を紹介いたします。
後ほど紹介するクリミア半島のロシア編入の2ヶ月後に起きた事件ですが、
2014年5月2日には、オデッサという港町で労働会館に約50人ものロシア系住民が閉じ込められ火を放たれ殺されてしまいました。
建物周辺も含めると死者は100人とも言われており、当時の反ロシア感情の高さを知ることができます。
これは「オデッサの惨劇」と呼ばれる有名な事件です。

2022/3/18追記
このような事件がどこで起きてもおかしくない状況になり、
臨時で誕生したトゥルチノフ政権がロシア語を公用語から除外してロシア語圏の住民からの反発を招くなど、民族間の軋轢は高まっていきます。
様々な要因により強い反ロシア感情はヤヌコーヴィチ政権打倒時から生まれてしまい、ウクライナ国内にいるロシア系住民は恐怖します。
ロシアと国境を面したウクライナの東側にはウクライナ系住民よりロシア系住民の方が多いのです。
このままでは我々は殺されてしまうのではないか、と思った彼らに残された手段は2つありました。

1つは隣国であるロシア連邦に助けを請うことです。
25年前までは同じソ連だったし同じロシア民族なんだから助けてくれ!
ウクライナ政府は崩壊して軍も警察も動かないから、このままだと俺たちはどうなるかわからない!
このような要望に応じて2014年3月にロシアはクリミア半島へ軍隊を送り、治安をひとまず回復させました。
そしてクリミア半島で選挙を行い、独立、そしてロシア連邦へ編入されることになりました。

結果的にクリミア半島の状況は落ち着いたのですが、ウクライナの東にあるドネツク州、ルガンスク州にも大勢のロシア系住民がいたのですが、彼らの所へロシア軍が派兵されることはありませんでした。
自分達の所にもロシア軍が来てくれるだろうと思っていたドネツク州、ルガンクス州の人達は困ってしまいます。
そこで彼らは独立という手段を取ることになりました。
2014年4月7日にドネツク人民共和国、4月27日にルガンスク人民共和国が一方的に建国を宣言しました。

こうして、2014年のウクライナ騒乱にて東ウクライナのクリミア半島、ドネツク州、ルガンスク州がウクライナ政権の手から離れてしまったのです。

選挙や独立については賛否ありロシア政府、ウクライナ政府が双方に非難しあっておりこの記事では割愛いたします。

泥沼の民族紛争へ

ウクライナ騒乱によってウクライナの東側にあるクリミア半島はロシアに編入され、ドネツク州、ルガンスク州は独立国家を宣言してしまいました。
この状況において、ウクライナ政府は独立派をテロリストと断定し武力で解決するという手段に出ました。
ウクライナ軍からの砲弾、爆撃などで民間人にも死傷者が出てしまいウクライナとドネツク、ルガンスクの対立は深まり紛争が始まってしまったのです
ロシアは目立たないよう、ドネツクとルガンスクを物資の支援をすることで独立派を支援しました。

紛争になりましたが両国は和平を望まなかったわけではなく、2014年9月5日にベラルーシにあるミンスク市にて、「ミンスク合意」と呼ばれる停戦協定が結ばれました。
しかし停戦は守られる事なく戦闘は続行されてしまいました。
2015年2月11日に「ミンスク合意2」という停戦協定が結ばれましたが、やはり紛争は続きました。

この8年間で、停戦協定を破ったのはドネツク、ルガンスク側だけでなく、ウクライナ側も停戦を破り双方が攻撃を何度も繰り返しております。
これはOSCE(欧州安全保障協力機構)も認めている事で、ウクライナ側の攻撃で現在までに何千人もの一般市民が死亡したと報告しております。
2021年10月26日にウクライナ軍が最新鋭のドローン兵器を使って親ロシア派を攻撃するなどしております。

このように2014年から8年間もロシアとウクライナは水面下で物凄い戦闘を繰り広げていたのです。
2022年2月24日のロシアの軍事行動が突然起こったかのように思う人も多いようですが、実はずっと戦争は続いていたというのがおわかりいただけましたでしょうか。

NATO拡大による国防上の問題

NATOの拡大も、ロシアのウクライナへの軍事行動にも関係しています。
そもそもNATO(北大西洋条約機構)とは何でしょうか?
NATOとは簡単に言うと軍事同盟であり、軍事同盟とは小さな国が集まって大きな軍隊を持って強くなろうという集まりです。

NATOは第二次世界大戦後、ソビエト連邦に対抗するために作られました。
そして、ソビエト連邦もワルシャワ条約機構という軍事同盟を作り東欧を中心に8か国が加盟していました。

NATOとワルシャワ条約機構による冷戦がずっと続いたのですが、1991年にソビエト連邦は崩壊して国家も解体されました。
これと同時にワルシャワ条約機構は消滅したのですがNATOは消えずに拡大を続けていき、当初は12ヵ国だったのに今は30ヵ国まで膨れ上がってしまいました。

ウクライナもNATOに加盟しようとしていたのですが、もしウクライナがNATO加盟国になると軍事的にはロシアの敵国となってしまいロシアは国防上の大きな問題を抱える事になります。
ウクライナとの国境からロシアの首都モスクワまでは600kmと非常に近く、ウクライナにミサイル基地などが置かれてしまう事はロシアは国防上絶対に認められないと主張しています。

ですが、ウクライナは主権国家でありどのように軍事力を持つかはウクライナが決めるべきであり他国が干渉するべき問題ではありません。
ロシアとウクライナでNATO加盟についての交渉は平行線を続けて現在にいたっております。

戦争は善悪ではない

ロシアとウクライナの関係悪化の要素は多くありますが、大きな要素としてドネツク、ルガンスクでの紛争とNATO拡大への抵抗があります。

戦争は善悪ではなく、国家間の利害の不一致が起こすものです。
善悪で判断しようとすると必ず見誤ります。
大手メディアはロシアの軍事作戦を違法な侵略行為だ表現している所が多いようですが、それはウクライナ側の一方的な視点でしかありません。

ロシア軍の攻撃で亡くなった人がかわいそうだという意見がありますが、ではウクライナ軍の攻撃で亡くなった人もかわいそうだと誰が言っているのでしょうか。
私にはキエフのアナスタシアさんが死ぬのはかわいそうだけど、ドネツクのマリアさんは死んでもいいよと言っているのと同じように聞こえるのです。
戦争に巻き込まれた人達がかわいそうだと思うのであれば、8年も前から紛争で苦しんでいる東ウクライナの方々も一緒に救われる方法を考えてほしいと思います。

ドネツクやルガンスクの民間人を巻き込む攻撃をウクライナ政府がしたのは事実であり、ロシア軍の民間人を巻き込む軍事行動が非難されるのであれば、ウクライナ政府も等しく非難されなければなりません。

ドネツク、ルガンスクの住人にとって、ロシアによるウクライナ政権打倒は8年間に続く内戦を終わらせてくれる希望でもあります。
ロシア軍が負ければウクライナの被害は止まりますが、同時にドネツク、ルガンスクでの紛争が継続することを意味します。
ウクライナ政府は独立派をテロリスト認定しており、徹底抗戦の構えを崩しておりません。
このような背景があるのですから、ロシアのウクライナへの軍事作戦を単純に悪だと批判することは慎むべきだと私は思います。
2014年から今までロシアとウクライナの関係は、ドネツク、ルガンスクの犠牲の上に成り立った偽りの平和だったのです。
8年に続く内戦をどうするべきかも言えず、戦争反対を訴えても何の説得力も無いでしょう。


別の視点になりますが、二国間の紛争が続くにはウクライナ側にも原因があります。
上記にて紹介したオデッサの惨劇で50人もの死者が出たのに、拘留、逮捕された人は一人もいません。
殺されたロシア人側からすれば不満が溜まるのも当然です。

ウクライナ国内ではウクライナ語を話す人が70%、ロシア語を話す人が30%ほどいるのに、ロシア語を公用語から除外して学校や職場でもロシア語は使えない法律ができています。
このような法律があるのですから、ロシア語圏の人々がウクライナ政権を拒否する気持ちが強まるのも自然な流れでしょう。

我々のできる事とは

多くの事を調べて自分の判断でウクライナを支援するのも、義勇兵として参加するのも私は自由だと思います。
しかしSNSやメディアを見ても2014年からのロシアとウクライナの関係を調べずに発言や行動をしている人が多い印象を受けます。

ロシア軍の砲撃で亡くなった子供がかわいそうだと義勇兵に参加しようとした人がいたようですが、彼らはウクライナ軍の砲撃で亡くなった子供のために義勇兵となってウクライナ政府と戦おうとは思わなかったのでしょうか。

今回の紛争は極めて複雑であり、民族的対立、安全保障問題、政治的汚職など様々な問題が絡み合っており簡単には説明しきれません。
ですが情報を調べていくことで、少しでも多くの人を救う事は何かを探す事はできます。
2014年からのロシアとウクライナの関係を知ることが、戦争が終わるための第一歩だと私は信じております。

皆様には、2014年からのロシアとウクライナの関係を知っていただいたうえで、何ができるかを考えていただければ幸いです。

あとがき

戦争や紛争問題を考えるときに、SF作品やアニメが参考になる事が多いのですが、「パトレイバー2」というアニメではこのようなセリフがあります。

戦争が平和を生むように、平和もまた戦争を生む。単に戦争でないというだけの消極的で空疎な平和は、いずれ実体としての戦争によって埋め合わされる。

今回のロシアとウクライナの問題もまさにそれで、8年間も解決できなかった紛争を両国は抱えているのにモスクワやキエフが平和だから平和といった消極的で空疎な平和は、本格的な軍事作戦による実体としての戦争によって埋め合わされてしまったのです。

宇宙の戦士というSF小説では、このように解説する元軍人の先生が登場します。

暴力、むきだしの力は、歴史におけるほかのどの要素にくらべても、より多くの事件を解決しているのだ。この反対の意見は、それらの事件の最悪状態における希望的観測にしかすぎないのだ。この根本的事実を忘れた種族は、その人命と自由という高価な代償を払わされてきたんだぞ。

戦争は多くの物事を解決してきたというのは、人類の歴史が証明しています。
植民地化された人々の悲惨な状況を解決したのも、独立戦争などと呼ばれる戦争でもあります。

私は「戦争反対」という感情的な言葉が好きではありません。
戦争はただの外交手段であり、どうすれば和平交渉に繋がるかを考えなければ「戦争反対」には何の意味もないからです。

ロシアのウクライナへの軍事作戦はなぜ起こったのか、2014年から両国間で何があったかを知る正しく事で、日本として両国にできることが見つかると信じております。

一日も早くロシアとウクライナ、そしてドネツク、ルガンスクでの紛争が終わることを心より願っております。

著者:サバゲーナビ編集長

しがないサバゲーマー。いつも裏方作業をがんばってます。